【架空電車】近鉄次世代アーバンライナーデザインスタディ2.5

順番が前後することになりますが、「近鉄次世代アーバンライナーデザインスタディ2」を削除した上で、「近鉄次世代アーバンライナーデザインスタディ2.5」として書き直すことにしました。「2」の公開後、何度も気になったところを加筆修正して、それを「追記」という形で一応告知しておりましたが、回数を重ねすぎて見苦しくなったこともあり、思い切ってこういう形にしました。

 まず、「近鉄次世代アーバンライナーデザインスタディ1」のトップ絵でネタバレしてますが、愛称は「アーバンライナー・アドバンス」。形式は便宜上、60000系とします。愛称に関しては「ビスタ・アドバンス」の使い回しといえば、その通りなのですが、今回の60000系「アーバンライナー・アドバンス」では、アドバンスの名前にふさわしい新機軸を、色々と盛り込んで行こうと思います。

近鉄60000系「アーバンライナー・アドバンス」編成図

 編成構成は「近鉄次世代アーバンライナーデザインスタディ1」で提示した、20.5mボギー車6両相当の8車体9台車(8連接)を基本編成とし、名古屋寄りに20.5mボギー車2両相当の3車体4台車(3連接)の付属編成を併結することとします。細かい寸法は、数回先の記事で触れます。現行、近鉄21000系「アーバンライナー・プラス」では、中間部に2両の増結編成を連結することで最長8両編成を組成していますが、今回の60000系は、編成定員が今時点で70人は減る見込みなので、基本的には基本編成+付属編成のフル編成で走り、閑散時や、阪神尼崎以西に乗り入れる場合には、柔軟に付属編成を切り離すという設定にします。もちろん、基本編成と付属編成を連結する側の先頭部には、貫通扉を設け、通り抜けができる構造とします(←ここら辺まだアイデア・スケッチ段階です)。

 基本編成の9台車中6台車が、付属編成の4台車中2台車が電動台車ですが、これは電動台車の数だけ見れば、20.5mボギー車6連および2連の1M1T相当になるように合わせたものです。付随台車の位置ですが、車端圧縮荷重ができるだけ掛からないように付随台車を2台車連続させたくないということと、雨天時に空転の多い先頭台車を電動台車にしたくないことから、こうしました。結果的にVVVFインバータ装置(主制御装置)を搭載した車体の前後が電動台車になりましたが、配線の都合上も、これで適当かと思います。

 ク60100形、サ60600形、ク60900形を「モ」にしなかったのは、まあ全車「モ」でもよかったのですが、全般検査などで1車体1車体バラす際は、大阪寄り先頭車から車体の名古屋寄りをジャッキアップし、仮台車をかませて切り離していく設定なので、その際、付随台車しか残らなくなる車両は「モ」としない方が、設定として「らしい」なあと思ったためです。

 パンタグラフの位置は

  • 摺板を台車中心にできるだけ近づける。
  • いわゆる「前パン」は架線垂下事故を想定すると避けたい。
  • 近鉄にはパンタグラフの母線引き通し距離は50m以内という制限があるらしい。
  • 床下機器との位置関係。
  • 1車体ずつ切り離す際、車体をジャッキアップしても干渉しない。

の5点を考慮して、この位置になりました。なお、関節の向きは、近鉄21020系や22600系「Ace」のものと逆になりますが、集電上、特に問題はないと思います。また、モ61000形は、通常、先頭に立って本線走行することはないという設定にします。

 艤装の話に入ります。各車の床下機器配置図をつくりましたので、興味のある人は、ご覧ください。

近鉄60000系「アーバンライナー・アドバンス」床下機器配置図
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 ベースとしたのは、近鉄21020系「アーバンライナー・ネクスト」のものです。近鉄21020系の艤装を見ると、2両ずつがペアになっていて、1両にVVVFインバータ装置など主回路関係を、もう1両に補助電源装置(以下SIV)、電動空気圧縮機(以下CP)などの補機類を積んで、1ユニットを構成し、それが3ユニットあります。これを、今回の60000系「アーバンライナー・アドバンス」では、1ユニットを3車体に振り分けて構成します。1車体目にSIV、2車体目にVVVFインバータ、3車体目にCPやバッテリー、抵抗器、という感じです。

↑ここが一番迷って何度も書き直した部分なんですが、CPを先頭車に持ってくるか、SIVを先頭車に持ってくるかという選択です。圧縮空気を行き渡らせるバランス的にはCPを両端に置いた方がいいのか、重量の重たいSIVを両端に持ってきて中間台車の軸重を減らした方がいいのか、という二者択一で悩んだ末に、後者を選びました。

 ここで察しのいい人でしたら「60000系の基本編成は8車体だけど、3車体×3ユニットをつくるとしたら1車体足りないんじゃないか」と疑問に思うかもしれません。ここが今回のデザインスタディのミソの一つで、3ユニット中、中間のユニットには、SIVおよびバッテリーが必要ないことから、その分スペースを節約でき、モ60400形・モ60500形の2車体で1ユニット分の機器を収めることができました。3+2+3=8車体で3ユニットつくれるというわけです。

 それ以外に、60000系の床下機器の艤装を見る上での、注目点をいくつか挙げておきます。

  • 空調装置は、近鉄50000系「しまかぜ」の両先頭車床下のセパレートタイプのものを、室内機・室外機ともに各車2台ずつ搭載した。
  • コンプレッサー関係は、近鉄50000系のCP一式を一体の箱に収めたタイプを搭載することで、省スペース化を図った。
  • モ60500形にCP一式を1台増設して、車体傾斜およびアクティブ・サスペンション用に余裕をもたせた。
  • 車体傾斜用の制御装置および空気ダメを各車に搭載した(名鉄2000系「ミュースカイ」のものを借用)。
  • 阪神用ATSおよび列車選別装置の設置スペースを確保した(必要性はともかく準備だけ)。
  • フィルタリアクトルの向きを90度変えて、省スペース化を図った(冷却装置の付加が必要かも)。

 メンテンナス性と、冷却の必要な機器周りの風の通りには、素人なりに配慮したつもりですが、相当キツめの艤装になってしまいました。しかし、前回提示の近鉄特急車空調装置床下収納化計画が、連接構造をとることで、物理的、技術的に実現可能だという、一応の確認はとれたものと思います。

 次回は、重量の話になります。折角、ここまで来たのに、話をかなりぶち壊すことになりそうです(笑)。

【関連する記事】
【注意事項】
  • 実在の鉄道事業者様、関連企業様とは一切関係ございません。ただの妄想です。
【参考資料】
  • KINTETSU 21020 アーバンライナー・ネクスト(近畿日本鉄道公式カタログ)
  • 鉄道ピクトリアル2005年10月臨時増刊号(第767号)
  • 鉄道ファン2004年8月号(第520号)
  • 鉄道ファン2007年2月号(第550号)
  • 鉄道ファン2013年4月号(第624号)
  • とれいん2009年1月号(第409号)
  • 田淵仁「近鉄特急〈上〉」JTBキャンブックス
  • Wikipedia「近鉄21020系電車
  • Wikipedia「近鉄30000系電車
  • Wikipedia「近鉄50000系電車

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